いつも取材に行っているんだけど、その合間にちょっとした雑談をした。
「すっごく大事なものを失くしてしまって、始末書レベルのものなんですけど、なんかおまじないとか、引き寄せの法則でなんとかできませんかね?」
という全くもって、頭の悪い質問だった。
気休めでも呪文的なアドバイスがもらえれば……と思っていたんだけれど、なぜかじっと動かずに一点を見つめていて、いつもと反応が違うな、気を悪くしてしまったかな?
なんて思っていた。
ワタシもよく知らん人に
「芝居やってるんだ? じゃ、なんかやって見せてよ」
と言われた経験がある。
は?
一応稽古を積んでお金貰って見せてる芸なんだけど。
とは言えないので、うまいこと誤魔化したりしてた。
その後は、あるひらめきを得て
「ピンサロで働いているという女性に、じゃ、ちょっとしゃぶってよ、っていいます?」
という返しをすることに決めた。
残念ながら、そのひらめきを得てから言われることがないのだが。
だから、なにか自分の能力で生きている人に、その能力を対価なく望んではいけないと思っている。
ほんのちょっと気休めの言葉を期待していただけなんだけど、しまったな、と思っていたら
「緑色が見える」
「誰かに捕られたりはしてないよ、そういうときは手が見えるんだ」
「こんな(お茶のペットボトルを指して)緑のところにある、そばっていうか」
え?
透視してたの?
マジで?
逆にプレッシャーなんですけど!
と思いながら、感謝の言葉を述べて帰宅。
一応、部屋にある緑を探してみた。
驚くほど、緑色のものが部屋にある。
それも驚きだった。
驚きつつも一通り見た。
見つからなかった。
そんなもんか、とあきらめた瞬間、ふと本棚の前に、積まれている……積まれていたけど崩れている絵本が目に入った。
ま、あんなとこにあるわけないんだよな、動線上あり得ないし、と思いながら見に行くと……あった。
探していたものが、あった。
どうしてこんなところに?
という気持ちと、マジであったんですけど! という気持ちがマーブル模様を描く。
本当に見えていたのかは分からない。
それが超・能力なのかどうかも、分からない。
でも、始末書を書かなくてよい状況を作るキッカケにはなった。
これはなんというのだろう。
なんにしろ、お礼に今度の取材では甘いものをお土産に持っていくことを決めた。
こんなことならもっと本当に探さなきゃいけないものを聞くんだった!
年金手帳、どこいったんだ!
再発行面倒くさいぞー!
ま、もう聞けないけどね。